RBNZが匂わせた「選挙までの利上げ休止」、市場に走る思惑
本日の材料
昨日利上げを決めたばかりのRBNZから一夜明け、市場の関心は「利上げそのもの」から「その先の姿勢」へと一気に移りました。ブレマン総裁が「2回の利上げの効果を見極めるため、しばらく時間を置くことができるだろう」と発言したことが、市場に明確なハト派シグナルとして受け止められ、NZドルは続落。一部では「OCRは11月7日の総選挙まで様子見(凍結)に入るのではないか」との見方まで出ており、銀行エコノミストの間でも10月利上げの有無を巡って見解が割れています。
これにより、AUDがNZDをアウトパフォームする流れが2日連続で継続し、AUD/NZDは主要な抵抗線を試す展開となりました。豪州側はGDP上振れを受けたRBA追加利上げ観測が引き続き支援材料になっています。
もう一つの大きな流れは、米国の弱い雇用関連指標(ADP)を受けたFRB利上げ観測の後退です。これによりドルが軟化し、金相場が急伸(+2.77%)。地政学リスクによる質への逃避に加えて、「米金利が上がりにくくなった」という金利要因が金を押し上げた一日でした。
中東情勢では、イランがクウェート国内の米軍基地を攻撃したと報じられ、トランプ大統領の警告にもかかわらず紛争が続いています。ホルムズ海峡の通航量は「船舶4隻」まで激減したと報じられていますが、原油価格自体はむしろ小幅安(-1.24%)となっており、供給不安よりも需要見通しの弱さが上回った形です。
為替
- AUD/USD:0.7186(前日比 +0.55%)
- NZD/USD:0.5866(同 -0.50%)
- AUD/JPY:112.71(同 -1.56%)
- NZD/JPY:92.04(同 -2.51%)
- USD/JPY:157.01(同 -1.99%)
- USD/CNY:6.7175(同 -0.04%)
最も目立つのは円の全面高です。USD/JPYは-1.99%と大幅に下落し、AUD/JPY・NZD/JPYもそれぞれ大きく値を下げました。日銀・植田総裁が「利上げは毎回の会合で選択肢に入る」との姿勢を改めて示し、日本国債利回りが30年ぶりの高水準(3%近辺)まで上昇したことが、円買いを強く後押ししています。オセアニア通貨のクロス円は、ドルストレートの動き以上に円要因で振らされる展開でした。
株式
- ASX200(豪):9020.10(+0.46%)
- NZX50(NZ):13846.18(-0.61%)
- 上海総合:3942.09(+0.02%)
- ハンセン指数:25171.10(-0.55%)
- 日経225:64214.48(-0.17%)
- STI(シンガポール・確定値):5743.40(-0.01%)
ASX200は、前日の米国株反発を引き継ぐ形で上昇し、金・ウラン関連株の戻りやCBA・NABなど主要銀行株の上昇が指数を支えました。一方NZX50は、RBNZのハト派転換で本来なら株式には追い風のはずですが、通貨安と債券市場の動揺(豪州債はGDP上振れを受け続落)を受けてわずかに下落。日経225はほぼ横ばいで、円高の影響と海外要因が綱引きした格好です。
コモディティ
- WTI原油:89.88ドル(-1.24%)
- 金:4487.30ドル(+2.77%)
- 鉄鉱石先物:97.72(-1.62%)
- 銅先物:6.61(+1.66%)
金の急伸が本日の際立った動きです。中東情勢の緊迫化に加え、米雇用指標の軟化でFRB利上げ観測が後退したことが重なり、金利上昇圧力の低下という形で金を押し上げました。オランダ中央銀行が地政学リスクを理由に米国・カナダから保有金86トンをロンドンへ移送したとの報道もあり、「有事の金」への意識が中央銀行レベルでも高まっていることがうかがえます。鉄鉱石はやや反落し、豪ドルへの資源要因での支援は一服しました。
リスク指標
- VIX:15.18(-0.13%)
VIXはほぼ横ばいで落ち着いた水準を維持しており、中東情勢の緊迫化にもかかわらず、株式市場全体としては過度な警戒モードには入っていません。金や国債利回りといった別の資産クラスの方が、リスク回避の受け皿として機能している一日だったといえます。
地政学
- イランがクウェートの米軍基地を攻撃したと報道。トランプ大統領による追加攻撃の警告にもかかわらず紛争は継続
- ホルムズ海峡の通航船舶数が「4隻」まで激減したとの報道があり、OPEC+は原油生産方針を据え置く見通し
- 太平洋諸島フォーラム(PIF)では、米国が1.5億ドル超の投資・支援策を発表。台湾のオブザーバー参加を巡っては、NZのピーターズ外相が「従来通りの手続きに変更はない」とコメント
- 中国・習主席がエジプト・中央アジアで新たな貿易ルートを模索する動きを継続
- カナダ中銀は政策金利を2.25%で据え置き、対米関税摩擦の激化を注視する姿勢
中央銀行ウォッチ
- RBNZ(NZ準備銀行):ブレマン総裁が「2回の利上げの影響を見極めるため時間を置ける」と発言し、市場はハト派シグナルとして解釈。10月利上げの有無を巡り銀行エコノミストの見解は分かれており、一部では総選挙(11/7)までのOCR凍結を予想する声も。なお国内銀行(BNZ・ASB・Kiwibank等)は既に変動金利を25bp引き上げ、利上げの実体経済への波及は進行中
- RBA(豪州準備銀行):GDP上振れを受け、豪州債利回りが上昇(債券は下落)し、追加利上げ観測を裏付ける形に。RBA議長からは「まだやるべき仕事がある」との厳しい発言も報じられている
- BOJ(日銀):植田総裁が毎回会合での利上げを排除しない姿勢を継続。日本国債利回りは30年ぶり高水準まで上昇し、本日の円全面高の主因に
- PBOC(中国人民銀行):パン・ゴンション総裁がG20で「意図的な貿易黒字は追求していない」と説明し、4本柱の成長刺激策を表明。人民元基準値はやや元高方向に設定
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